なぜ「腸の形(形態診断)」が重要なのか?
大腸カメラでは、ポリープ・がんの発見だけでなく、
腸そのものの形(走行・たるみ・長さ・ねじれ・固定) を正確に把握することが非常に重要です。
これは「大腸カメラの痛み」「挿入の難しさ」「治療の精度」に直結するため、
近年の内視鏡専門施設では形態診断を『基礎情報』として扱うのが標準になっています。
● 形態診断でわかること
- 腸がどの方向に曲がりやすいか
- S状結腸がどれほど冗長(長くたるんでいる)か
- 手術・癒着によってどの部位が固定されているか
- 痛みや挿入困難の原因となる『詰まりポイント』
特に 「腸が長い」「たるんでいる(冗長)」「ループしやすい」 といった形態異常は、多くの方が自覚していない『痛みの原因』です。
CTコロノグラフィーとの違い(比較ポイント)
● CTコロノグラフィーとは
大腸CT検査(CTコロノグラフィー)は、肛門から炭酸ガスで腸を膨らませ、
CTで撮影した画像を3D処理して大腸内面を再構成する検査です。
- 内視鏡を挿入せずに大腸の状態を『画像として』確認できる
- 大腸内視鏡が難しいケースでも実施可能
- 病変の有無をスクリーニングする目的では一定の精度がある
● ただし「実際のお腹の中の形」とは異なる
一方で、構造上の制約もあります。
- 腸を炭酸ガスで強制的に膨らませるため、本来の形とは異なる
- 画像は「膨らんだ状態」を再構成したもので、生理的な腸の位置やたるみは再現されにくい
- ねじれ・癒着・長さ といった形態異常の『正確な位置』が分かりづらい
そのため
「どこかに異常がある」までは分かっても、体表のどこに相当するのかという『ピンポイントの診断』は難しい
という限界があります。
さらにポリープ・がんが疑われた場合は、
結局は大腸内視鏡で再検査・治療が必要となります。
浸水法 × 完全無送気軸保持短縮法とは何か
当院が採用しているのは、
「完全無送気軸保持短縮法」+サイホンの原理を利用した浸水法
という最新手技です。
完全無送気軸保持短縮法
= 空気を送らず(無送気)、腸を「畳み込むように短縮」しながら軸を保持して進める挿入法
サイホンの原理(簡易説明)
= 水の重さで自然に低い方へ落ちる力を利用し、腸を自然な位置に導く物理法則
水を利用して腸の動きを安定させることで、痛みの主因(過伸展・ループ)を抑えられるのが最大の強みです。
● 浸水法が優れている理由
- 水の重さで腸が浮き上がりにくく、軸が安定しやすい
- S状結腸が自然に縮む方向に働き、短縮操作の負荷が少ない
- 空気を入れないため、腸が過度に伸びない=痛みが出にくい
浸水法だからできる「生きた腸の形態診断」
腸を膨らませず、『本来の形』に近い状態で観察
浸水法では腸をガスで膨張させません。
そのため、腸のたるみ・長さ・走行が自然な状態で保たれるため、
→ どこが長いのか
→ どこが固定されているのか
→ どこで痛みが生じやすいのか
が極めて分かりやすくなります。
ループ形成・癒着・ねじれの把握
挿入中の手の感覚と画面の動きを同期させて観察できるため、
- ループができやすいポイント
- 癒着で動かない部分
- ねじれが強い部位
といった 「大腸カメラの痛みの原因そのもの」 をリアルタイムに可視化できます。
お腹の上から位置を『触って確認』できる
形態診断ができていることで、外から軽く押すだけで
画面のどこが動くか
病変が体のどの位置と対応するか
を即座に判断できます。
→ 内視鏡治療や術前・術後の管理にも有用。
形態診断と同時に「その場で治療」まで完結できる
CTコロノグラフィーは
画像診断のみで、ポリープがあれば別日に内視鏡が必要です。
一方、浸水法 × 大腸内視鏡は
- 形態診断
- 病変の位置同定
- ポリープ切除・早期がん治療
まで、1回の検査で完結できる可能性があります。
これは浸水法の最大の臨床的メリットです。
こんな方に「浸水法による形態診断」が有用
- 以前の大腸カメラで「腸が長い」「挿入困難」と言われた
- 強い便秘・腹部膨満で腸の形が気になる
- 開腹手術歴・癒着の可能性があり慎重に検査したい
- レントゲン・CTで「腸が長い・たるんでいる」と指摘された
- 大腸CTを受けたが、結局大腸内視鏡も必要と言われた
腸の形(走行・長さ・固定)を踏まえて、
最適な治療方針を決めたい方に最適な検査です。
画像ではなく、「実際の腸」を見ながら診断・治療する
- CTコロノグラフィー → ガスで膨らませた『画像の腸』を再構成して見る検査
- 浸水法 × 大腸内視鏡 → 本来の形に近い『生きた腸』をリアルタイムで観察し、 → 診断と治療をその場で完結
どちらが自分に合うか迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。
ご検討中の方へ
- CT検査と大腸カメラで悩んでいる
- 過去に「挿入困難」と言われて不安
- 便潜血陽性で、検査方法を迷っている
まずは外来でお気軽にご相談ください。
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