食道がん

食道がんについて

食道がんは色々な種類の消化器がんの中で、遠隔転移をしやすく治りにくいがんであることをご存知でしょうか。
理由としては、食道の壁が非常にうすいことが上げられます。専門的には食道は漿膜(一番外側の硬い膜)が存在せず、一度がん細胞ができて組織に入り込むと、血管やリンパ管に簡単に入ってしまい、容易にがんが全身に広がってしまいます。一度全身に広がるとなかなか完治するのが難しくなります。漿膜がないことで胃がんや大腸がんなどに比べ進行の早いがんと言うことができます。
(手すりのない橋の上に人が沢山いたら、川に落ちる人も出てきてしまいます。手すりがあれば、手すりにつかまることで川に落ちる可能性は低くなります。手すり=漿膜があるのとないのとではがん細胞の転移のしやすさがまったく違いがんの予後を左右しています)
また食道がんを内視鏡で切除できても、一部の人ではすでに血管やリンパ管に入ったがん細胞が他の場所に住み着き、生き残ったがん細胞が徐々に大きくなり、数ヶ月~数年後再発を来たすこともあります。

食道異形成上皮とは?

食道異形成上皮は、食道の粘膜が形態異常を起しており、食道がんになる一歩手前の状態です。
軽度異形成、中等度異形成、高度異形成に分類されており、高度異形成は食道がんとほとんど見分けが付かないくらい悪性度が高いものとなります。

症状

異形成では、ほとんど症状が起こることはありませんが、食道がんになり徐々に進行すると、胸の違和感・痛み・物を飲み込むときのつかえる感じ・咳などの症状を来たすようになります。

原因

過度の飲酒が原因となります。特に飲酒により顔が赤くなる人は少量の飲酒でもリスクが高い(健常者の約8倍)といわれており、またそのような顔が赤くなる人が1日3合以上飲酒していると更にリスクが高い(約100倍!)といわれております。
なぜ食道がんの原因になるかというと、アルコールを解毒するときに生じるアセトアルデヒドが細胞に悪影響を及ぼします。繰り返し飲酒することで、細胞のダメージが蓄積し、異形成上皮となります。さらに病状が進むと食道がんになります。顔が赤くなる人は、アルコールを分解する能力が低く、アセトアルデヒドが蓄積しやすいため赤くならない人に比べてダメージを受けやすいためです。
喫煙(たばこ)の習慣があると、細胞のダメージがより一層悪化し、異形成や食道がんのリスクが高くなります。 また食道に異形成がある方は、食道がんはもちろんのこと、“のど”のがん(咽頭がん・喉頭がん)や胃がんにもなりやすいことが知られております。 飲酒や喫煙のほかに、熱いものや辛いものの定期的な摂取(嗜好食)も食道粘膜にダメージを与えてしまうため原因となります。

食道がん・食道異形成になりやすいかどうかは、こちらのチェックシートでリスクを判定することが出来ます。ハイリスクに該当しお酒を飲む方は一度内視鏡検査をお勧めします。。

診断

上部内視鏡検査(胃カメラ)で粘膜を直接観察することで分かります。

(粘膜画像)
上記のように食道粘膜に隆起した粘膜を認めます。
(画像2)
別の方の食道がんです。食事をすると全部吐いてしまうという症状で受診されました。あまりに食道がんが大きくなり全周性の狭窄を来たしています。食事が通過するスペースが全くないため食べたものがすべて口の中に戻ってしまったと考えられます。
(画像3)
繰り返す肺炎を主訴に来院された方です。非典型的な肺炎を繰り返すため、内視鏡をしたところ食道がんが見つかりました。食道がんが深く粘膜を掘り進め、肺にまで達してしまったため、食道と肺に交通ができてしまい食べ物が肺の中に入り込んでしまうようになったためです。

治療

早期に発見された場合、内視鏡的な治療で根治することが出来ます。
内視鏡で切除できないときや進行していた場合は、抗がん剤・放射線・手術による治療を組み合わせて行います。

*早期に発見された場合は内視鏡的に治療することができますが、原因である飲酒・喫煙を続けていると、他の粘膜から新たな食道がんが出てくることがあります。そのため、ハイリスクの方では定期的な上部内視鏡検査の必要があります。

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