苦痛の少ない大腸カメラ ― 浸水法(ウォーター挿入法)で痛みを最小限に抑える理由 ―

 

大腸カメラは「痛そう」「つらそう」という不安から、受診をためらう方が少なくありません。

しかし、現在の内視鏡技術では 痛みの原因そのものを抑える挿入法 が確立されており、検査の負担は大きく変わりつつあります。

当院では、久里浜医療センター 水上健先生 の理論を基礎にした

浸水法(ウォーター挿入法)・細径スコープ・ループ抑制操作

の三本柱で、腸を不必要に伸ばさない【痛みに配慮した大腸内視鏡】を行っています。

「前の大腸カメラがつらかった」「痛みが怖い」

そんな方にこそ、知っていただきたい内容です。

大腸カメラの「痛み」はどこから来るのか

大腸内視鏡の痛みの本質は、

腸が必要以上に引き伸ばされること にあります。

特に、
S状結腸(左下腹部のカーブが多い部分)
手術後で腸が癒着している部分

では、空気で腸を膨らませながら無理に進めると、腸が「引っ張られる」感覚が強く出るため、

「刺すような痛み」「張り裂けそうなお腹の張り」として自覚されます。

さらに、腸の中でスコープが輪っか(ループ)を作ると、

腸が体の中で持ち上がるように引き伸ばされ、痛みが増幅します。

従来法(送気法)と浸水法の決定的な違い

従来:空気で膨らませながら進める方法(送気法)

一般的な大腸カメラでは、視野を確保するために空気を送りながら腸を広げて進めます

  • 空気で腸が膨らむ
    浮き上がった腸が伸ばされる
    カーブがきついS状結腸でループができやすい

→ これが強い痛みと張りの主因です。

浸水法:空気ではなく「水」で満たして進める方法

浸水法(ウォーター挿入法)では、

空気を使わず、水で腸を満たしながらスコープを進めます。

ポイントは3つです。

  1. 直腸〜S状結腸の空気を徹底的に抜く
    かわりに水を注入して腸管内を満たす
    水は重力で奥側(下行結腸)へ流れるため、腸は浮き上がらない

その結果、
腸が不必要に伸びない
S状結腸が自然に「縮む」方向に働く
スコープは水の中を“滑る”ように進む

という状態が作られます。

浸水法で痛みが軽減する 『メカニズム』

腸を「伸ばさない」ので、引きつれる痛みが出にくい

空気を入れると腸が風船のように膨らみ、

その状態で押したり引いたりすると、腸が引きつれて痛みが出ます。

浸水法では、
空気を抜く
水で満たすが、大きく膨らませない

ため、腸壁が過度に伸ばされず、痛みの閾値を超えにくくなります。

水の重さで「下」に流れ、腸が骨盤内で安定する

空気で膨らませた腸は、お腹の中で浮き上がるように動きます。

一方、水は重力に従ってより低い方へ流れるため、腸は余計に持ち上がりません。

  • 空気:腸が浮き上がり、引っ張られて伸びる
    水 :腸は骨盤内で安定し、伸ばされにくい

  • 腸が『動かされる痛み』を減らせる。

S状結腸が『自然に縮む』方向に働く

S状結腸は螺旋状に曲がった構造をしており、

送気で膨らませると、長く引き伸ばされて“だらん”とした形になります。

浸水法では、
空気を抜く
水が下行結腸へ流れていく

ことで、S状結腸の容積が減り、螺旋階段のように『きゅっ』とまとまった形に戻るとされています。

この状態では、
スコープを螺旋に沿って軽く回転させるだけで
コルク抜きがコルクに入っていくように
S状結腸を伸ばさずに直線的に通過できる

→ S状結腸通過時の痛みが大きく減ります。

視野も安定し、検査の安全性にも寄与

水と一緒にスコープが進み、

便の残渣も水の流れで奥へ押し出されるため、視野が乱れにくくなります。

視認性の悪さで余計な送気や押し引きが増えるリスクも減り、

安全かつ効率的な検査につながります。

浸水法が特に有効な方々はこちら

浸水法は、以下のような方に特にメリットがあります。

  • ・過去に大腸カメラで強い痛みやトラウマがある
    ・痩せ型・小柄体型で、腸が細く曲がりやすい
    ・慢性便秘で腸が長く、S状結腸がだぶつきやすい
    ・帝王切開や腹部手術歴があり、癒着の可能性がある
    ・過敏性腸症候群(IBS)などで、腸の知覚が敏感

こうしたケースでは、「従来の送気法+麻酔」よりも、「浸水法+必要最小限の鎮静」の方が合理的なことも多く、

世界的にも浸水法は『少ない鎮静で済む方法』として報告されています。

麻酔に「頼る」のではなく、痛みの原因を減らす

浸水法により「無麻酔でも苦痛の少ない大腸内視鏡」が可能であることが学会・論文で示されています。

浸水法を開発した 久里浜医療センター 水上健先生より直接ご指導頂き、
当院では、浸水法をさらに進めた、痛みの少ない内視鏡を提供しております。

まず挿入技術と浸水法で痛みの原因そのものを減らす
そのうえで 患者さんの不安・既往歴に応じて鎮静を適切に併用する
という方針を取ります。

つまり、

 「麻酔で痛みをごまかす」のではなく、
 「痛みを起こさない挿入法 + ウトウト楽な鎮静」 を組み合わせる

ことを重視しています。

※痛みの感じ方には個人差があるため、「完全に無痛」を保証するものではありませんが、

痛みの主因を医学的に減らす設計になっています。

大腸カメラへの恐怖が強い方へ

  • 過去の大腸カメラでつらい思いをした方、

    「痛そうで怖い」と感じている方、

    便潜血陽性でも受診を迷っている方は少なくありません。

    こうした不安の多くは、【 腸が伸ばされることによる『痛みの仕組み』 】を知らないまま、

    以前の経験だけが記憶に残っていることが原因です。

    当院では、

    • 腸を膨らませず
      S状結腸の負担を抑え
      ループ形成を避ける操作を行い
      必要に応じて鎮静を併用する

    ことで、大腸カメラの痛みの主因を理論的に減らす検査を提供しています。

    大腸内視鏡の痛みは「避けられないもの」ではありません。

    送気で腸を膨らませていた時代とは異なり、

    浸水法・細径スコープ・適切な挿入操作により、

    負担の少ない検査が可能になっています。

    「仕方ないから我慢する」のではなく、

    【 痛みが出にくい方法で受けられる 】ことを知っていただければと思います。

    初めての方も、過去に苦痛が強かった方も、

    便潜血陽性で不安な方も、どうぞご相談ください。

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